研究TOPICS

日常生活をより便利に安全に、かつ有意義にするために、コンピュータを生活に馴染ませるための研究をしています。そのひとつが、人の動きを認識するセンサーを用いた「携帯端末の帯同場所判定システム」です。携帯電話をいつも胸ポケットに入れているのに、あるときズボンのポケットに入れていたら、着信音に気づかないかもしれません。そこで、着信時に端末自体が「ズボンにしまったこと」を認識して自動的に着信音量を上げてくれるようなシステム、つまり人がシステムに合わせるのではなく、システムが人に合わせるようなシステムの開発を進めています。また、写真撮影時の個々の好きな撮り方をカメラが学習し、被写体に応じて自動的にその画角やズームに設定するような機能や、撮りためた膨大な写真の中から本当に残したい写真だけを選別するような、持ち主の好みをカメラに記憶させる機能の開発にも挑んでいます。さらには、プロジェクターを活用した新たな技術開発にも着目。大学での実験などの際、危険物を入れたビーカーの位置を常時認識し、その近くに「こぼすな危険!」などの文字を表示させる技術です。単純に「!」とだけ表示して、実験者に「なぜ『!』なのか?」を考えさせることもでき、目指すべき効果に応じて情報を出すタイミングや中身を変化させることが可能です。
研究テーマは、「ものづくりがしたい」「スマホの未知の活用法を発明したい!」など、個々の目標に応じて学生自らが決定します。システム開発の研究室だからといってプログラミング能力の向上が目標ではありません。テーマ次第ではハードづくりにもチャレンジできます。「やりたいこと」に必要となるものを自分で考え、自分で準備していく環境は、やりがい十分です。最近は誰でも「ものづくり」ができる環境が整ってきていますが、一番大事なのは「何のために作るのか」という必要性や意義の自覚にもとづく動機の明確化です。研究室ではそこを徹底的に議論し、ITシステムをはじめ、さまざまな仕組みを設計する力を養います。


工学研究院
先端情報科学部門
藤波 香織 准教授
早稲田大学大学院理工学研究科情報科学専攻博士後期課程修了。
日本学術振興会特別研究員、早稲田大学理工学術院客員講師などを経て2007年より現職。
Student's Voice

工学府 情報工学専攻 修士1年
長瀬 大護さん
東京都立新宿高校出身
クリスマスツリーなどのイルミネーションの色や点滅タイミングを簡単にカスタマイズできるシステムを開発中です。学会発表を通じて、プレゼンテーション能力もアップしました。

工学府 情報工学専攻 修士1年
神保 拓也さん
埼玉県立所沢北高校出身
外国人旅行者の使用を想定した公共交通機関のナビシステムを、スマートフォンアプリとして開発しています。研究をどう進めていくか、スケジュール管理能力も高まりました。

工学府 情報工学専攻 修士2年
佐伯 翼さん
私立本郷高校出身
研究テーマは、「地図情報と連携した歩行中におけるスマートフォン利用危険場面の推定」。難しいテーマでも自然と「チャレンジしよう!」と思えるのが、農工大の研究室の魅力ですね。
※掲載内容は、2015年11月取材時のものです。