流動層乾燥プロセスにおける水分量のリアルタイムモニタリング

概要

近赤外分光法(Near-Infrared Spectroscopy; NIRS)によるインライン水分量測定を,流動層乾燥法を用いたラクチュロースの三水和物結晶粉から無水物結晶粉への変換プロセスに適用して,ラクチュロース結晶粉の水分量変化をリアルタイムにモニタリングした.そのために,流動層乾燥中のラクチュロース結晶粉のNIRスペクトルを測定し,スペクトル前処理としてMSC(Multiplicative Scatter Correction; 乗算的散乱補正)を適用してリファレンス水分量とPLS回帰分析を行い,検量モデルを作成した.NIRスペクトルは乾燥用空気の温度依存性,および三水和物結晶粉で粒子径依存性を示したが,検量モデルではその影響は除去できた.この検量モデルの妥当性検証のため,バリデーション用に別途用意したテストセットのラクチュロース三水和物結晶粉の原料を使用してラクチュロース三水和物結晶粉から無水物結晶粉に変換する流動層乾燥を行い,検量モデルによる予測水分量とリファレンス水分量がよく一致することを確認した.このことから,NIRSによるインライン測定で流動層乾燥プロセス中のラクチュロース結晶粉の水分量変化,および乾燥終点をリアルタイムでモニタリングすることが可能であることが確認できた.

収録
化学工学論文集 42巻 5号 pp.179-185