Mac mini 1.25GHz G4 / OS10.4 Tiger にタンパク質の立体構造解析ソフトをインストールした時の手順
殿塚隆史(東京農工大学大学院応用生命化学専攻)
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以下の文中、「コンピュータ名」「ユーザー名」はそれぞれ自分のコンピュータおよびユーザーの名前を入れる。
1. X11 のインストール
タンパク質の立体構造解析ソフトをインストールするには、Unix
のグラフィックを担う X11 を インストールする必要がある。購入時に
X11 はインストールされていないが、付属の
DVD に Apple のオフィシャルな X11 があるので、これをインストールした。
(1) 付属の DVD より Optional Installs.mpkg
をクリックする。
(2) X11 を選択してインストール。
(3) ディベロッパー用ソフトウェアをインストール:構造解析は、基本的に既存のソフトウェアを利用して行うものなので、プログラミングそのものは必要ではないが、ソフトウェアの中にはソースコードをコンパイル(変換)してインストールする必要があるものもある。このため
C コンパイラのインストールを行う。また、後述する
fink のインストールの前にディベロッパー用のソフトウェアをインストールしておいた方がよいので、ここでは、不要なソフトウェアもあるが、簡易的に
Xcode Tools 一式を一括してインストールした。
アプリケーションのフォルダ -> Installers
-> Xcode Tools -> XcodeTools.mpkg をダブルクリックする。あとはインストーラの指示に従って、そのままインストールした。
(4) X11 の起動:アイコンがアプリケーションのフォルダ
-> ユーティリティにあるので、ダブルクリックして
X11 を起動させる。
(5) デフォルトで開くシェルは、字が小さくてこのままだと非常に見づらく、また、スクロールバーがないので不便である。
X11 のメニューより、アプリーケーション ->
メニューをカスタマイズ を選択し、ターミナルのコマンド(欄をダブルクリックすると変更できるようになる)を単なる
xterm より:
xterm -font 9x15bold -sl 1500 -sb
もう少し字が大きい方がよければ:
xterm -font 10x20 -sl 1500 -sb
とすると、かなり字が大きく見やすいものとなる。
ここでは IRIX(SGI 社のコンピュータ用の
Unix オペレーティングシステム、昔は構造解析用のソフトウェアは
IRIX 用を対象としたものが多かった)調のシェル風に色も変更し、以下のような設定にした:
xterm -font 9x15bold -sl 1500 -sb -fg white
-bg midnightblue
なお、フォントの一覧は xlsfonts コマンドで、色の種類は
/usr/X11R6/lib/X11/rgb.txt に記述されている。
このままだと日本語が文字化けするが、構造解析のソフトはすべて英語なので、問題はない。
2. シェルを tcsh へ変更
構造解析で使用するソフトウェアは、C シェルで使用した方が使い勝手がよいものが
多い。IRIX などで開発されたものがもととなっている場合が多いからであろう。
しかしながら、OSX の Unix は標準では B シェル系の bash が標準となっている。
そこで、chsh コマンドで標準のシェルを C シェル系の tcsh
に変更しておくと都合が良い。
(1) コマンドライン上で chsh とタイプする。
(2) vi が起動し、現在の標準のシェルが示される。
(3) i を押して vi をインサートモードにし、Shell:
の行を /bin/bash より /bin/tcsh に変更する。以下のようになる。
# Changing user database information for
ユーザー名.
#
# (use "passwd" to change the password)
##
# Local NetInfo Database
##
Shell: /bin/tcsh <-- この行を書き替えた。
Full Name: ユーザー名
(4) esc キーを押して vi をコマンドモードに変え、:wq
より、変更をセーブし終了させる。
(5) 変更を有効にするためには、マシンを再起動させる必要があるようだ。
3. .cshrc ファイルの編集
.cshrc ファイルは csh や tcsh の設定を記述しておくファイルである。ここは
vi や pico のようなテキストエディタを用いて好みに応じて編集すればよい。初心者は
pico で編集する方が分かりやすいだろう。(コマンドプロンプトから
pico .cshrc とタイプする)。ここでは以下のようにした。
if (! $?DISPLAY) then
setenv DISPLAY :0.0
endif
set prompt = "[%c3]%# "
alias ls 'ls -F'
最初の3行:OSXに標準で付属するターミナルからでも
X11 が必要なソフトウェアを起動させるための記述。
次の1行:コマンドプロンプトをシンプルに表示させ、ディレクトリの階層を表示させる。そのままだと[コンピュータ名-no-mac-mini]ユーザー名%
というように長いコンピュータの名前が常に表示されてしまい目障り。
最後の一行:ls だけで、ファイルかフォルダか実行形式ファイルかを表示させるようにする。
4. fink のインストール
fink はインターネットによる Unix のパッケージソフトウェアの導入を支援するソフトウェアで、非常に便利なものである。
(1) http://fink.sourceforge.net/ より、fink
のインストーラをダウンロードする。2005年12月現在、OS10.4
用で一番新しいのは、Fink-0.8.0-Installer.dmg
であった。
(2) ダウンロードして展開したら、Fink 0.8.0
Installer.pkg をダブルクリックしてインストールした。
(3) g77 および blt のインストール:ここでは、CNS
のコンパイルなどに必要な Fortran g77 コンパイラや
CCP4i のために必要な blt をインストールする。それぞれコマンドで:
sudo apt-get install g77
sudo apt-get install blt
と入力してインストールした。
なお、OS10.4 では、tcl/tk は fink で blt
をインストールする前にすでにインストールされているものの、上記の
blt のインストールによって fink の tcl/tk
に置き換えられるが、問題はない。
5. CCP4 (およびディスクイメージが利用できるソフトウェア)のインストール
CCP4 は OSX 用にコンパイルされたバイナリがあるのでインストールは簡単である。ライセンス登録は必ず行う。
(1) CCP4 の FTP サイト(日本国内のサイト
ftp://ftp.protein.osaka-u.ac.jp/mirror/ccp4)より、最新版のフォルダ(2005年12月現在だと
5.0.2) -> binaries -> ccp4-5.0.2_osx_g4.dmg.gz
をダウンロードする。
(2) ダブルクリックすると gz 形式が解凍され
ccp4-5.0.2_osx_g4.dmg ができる。
(3) できた ccp4-5.0.2_osx_g4.dmg をダブルクリックする。デスクトップに現れた
ccp4-5.0.2_osx_g4 内には、CCP4 のインストーラやライセンス登録のフォーマットなどがある。
(4) ccp4.g4.mpkg をダブルクリックすると、/usr/local/ccp4-5.0.2
というディレクトリにインストールされる。
(5) シェルを開き、/usr/local/ccp4-5.0.2/bin
に行き、ccp4.setup-csh というファイルを
sudo cp ccp4.setup-csh ccp4.setup
という操作によって、ccp4.setup という名前のコピーを作成する。このインストールの手順では
ccp4.setup の修正は特に必要ないが、念のため。
(6) cd コマンドを入力してログイン時の階層(/Users/ユーザー名)に行く。pico
.cshrc より、.cshrc ファイルを開き、
source /usr/local/ccp4-5.0.2/bin/ccp4.setup
という一行を加える。
このインストールによって .cshrc は以下のようになった。
if (! $?DISPLAY) then
setenv DISPLAY :0.0
endif
set prompt = "[%c3]%# "
alias ls 'ls -F'
test -r /sw/bin/init.csh && source
/sw/bin/init.csh
source /usr/local/ccp4-5.0.2/bin/ccp4.setup
最初の5行はシェルの表示などに関する行(前述)、次の1行は
fink に関する行(fink のインストール操作によって記述される)、最後の行が今回
CCP4 のインストールによって加わった行である。
なお、本ソフトウェア以外にも OSX 用バイナリのディスクイメージをとってこれるソフトウェアがいくつかあり、わざわざコンパイルしなくてもこれを利用してインストールする方が楽。
すべてを検証していないので、詳しいことは分からないが、Raster3D などは、
http://util.ucsf.edu/local/programs/MacOSX/
に OSX 用にコンパイルされたディスクイメージがあるようだ。解凍が必要なものは
Stufflt Expander などで解凍して、とってきたディスクイメージをインストールする。この操作のあとはソフトウェアによって異なるが、上述の
CCP4 のインストールの手順と同様に設定ファイルのありか(すなわち
source /usr/local/... .../設定ファイル という記述)を
.cshrc に一行加えるか、適当なパス(例えば、set
path = ( $path /usr/local/bin )など)を .cshrc
に記述する。
6. Coot のインストール
(1) Bill Scott の OSX 用 Coot のページ
http://xanana.ucsc.edu/~wgscott/xtal/wiki/index.php/Installing_Coot_on_OS_X
にスタンドアローンで動くソフトのディスクイメージがあるので、
ここからとってくると楽。
(2) ダウンロードした圧縮ファイルをダブルクリックして解凍する。
(3) できたディスクイメージ(例えば coot-x.x.x-intel-ppc.dmg)をダブルクリックすると、
coot-x.x.x-intel-ppc というフォルダができるので、
これをハードディスクにドラッグしてコピーする。
(4) coot-x.x.x-intel-ppc フォルダ内の usr フォルダ内の local フォルダ内の coot フォルダを
移動する。
シェルをひらいて cd コマンドで coot-x.x.x-intel-ppc/usr/local の階層に行き、
sudo mv coot /usr/local で移動する。
(必要な場合はこのフォルダの属性を sudo chown -R ... コマンドなどを用いて変更する。)
(5) pico などで .cshrc ファイルを開き、
set path = ( /usr/local/coot/bin $path ) という一行を加える
7. CNS のインストール
(1) CNS のサイト(http://cns.csb.yale.edu/v1.2/)に行って Download からリクエストフォームを送信する。
(2) メールでパスワードが送付されてくるので、cns_solve_1.2_all.tar.gz をダウンロードする。
(なお、Intel Mac には別にコンパイルされたものが用意されている。)
(3) インストールする場所を決め、そこで cns_solve_1.2_all.tar.gz を解凍する。
ここではダウンロードした cns_solve_1.2_all.tar.gz を /Users/ユーザー名/local に置き、
ダブルクリックして解凍した。(解凍したらもとの圧縮ファイルは削除してもよい。)
(4) シェルを開き、生成したフォルダ cns_solve_1.2 の中に cd コマンドで入る。
この場合ではすなわち、cd /Users/ユーザー名/local/cns_solve_1.2 とタイプ。
(5) pico などの適当なエディタで cns_solve_env ファイルを開いて、
setenv CNS_SOLVE 'location of CNSsolve directory'
の行を編集する。ここでは、
setenv CNS_SOLVE '/Users/ユーザー名/local/cns_solve_1.2' と記述した。
(6) エディタを終了させ、cns_solve_env ファイルと同じ階層で make g77install とタイプすると
コンパイルが始まる。
(7) コンパイルが終了したら新たにシェルを開き、pico などで .cshrc ファイルを開き、
source /Users/ユーザー名/local/cns_solve_1.2/cns_solve_env
という一行を加える。
8. XtalView のインストール
XtalView は SDSC(http://www.sdsc.edu/CCMS/)では、すでにサポートはしていないことが記されており、
現在では、active-sight のサイト
(http://www.active-sight.com/)から
XtalView のライセンスのページにたどりつくことができるので、
リクエストフォームを送信して、ダウンロードします。以前、以下のようにインストールしました。
(1) SDSC のサイトから xtalview.tar.Z(どの機種でも必須なファイル)をダウンロードした。
(2) CCP14 のサイトに、かつてのXtalView のページがあるので
(http://www.ccp14.ac.uk/ccp/web-mirrors/xtalview-mcree/pub/dem-web/)
このサイトから Mac OSX 用の XtalViewDarwinv1.0.tar.Z
をダウンロードした。
(3) インストールする場所を決め、そこで xtalview.tar.Z
を解凍する。
ここでは /Users/ユーザー名/local に xtalview.tar.Z
を置き、
tar xvZf xtalview.tar.Z により解凍した。(解凍したらもとの圧縮ファイルは削除してもよい。)
(4) できた XtalView ディレクトリ内(ここでは
/Users/ユーザー名/local/XtalView )に XtalViewDarwinv1.0.tar.Z
を置き、ここで、
tar xvZf XtalViewDarwinv1.0.tar.Z により、このファイルを解凍する。(解凍したらもとの圧縮ファイルは削除してもよい。)
(5) ダウンロードした XtalViewDarwinv1.0.tar.Z
は、少し前のバージョンの OSX 用のものなので、このままだと
XtalView は OS のバージョンが分からないので動かない。そこで以下のような手順で
XtalView/bin/share にある archosv が powerpcDarwin5
を返すようにする。
(5-1) 現在の archosv のバックアップをとった後、pico
などで archosv を編集する。
(5-2) case "$arch" in の次の行に以下の一行を追加する。(\
はバックスラッシュ)
Darwin==8*==Power\ Macintosh) echo powerpcDarwin5
;;
(5-3) 編集した archosv を保存した後、./archosv
と入力して、powerpcDarwin5 と返すかどうか確かめる。
(6) XtalView.env を pico などで編集する。
ここでは setenv XTALVIEWHOME /projects/us/XtalView
を
setenv XTALVIEWHOME /Users/ユーザー名/local/XtalView
とした。
(7) pico などで .cshrc ファイルを開き、
source /Users/ユーザー名/local/XtalView/XtalView.env
という一行を加える。