厚さ100ナノメール級の極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスを実現 -熱マネジメントやイメージング、そして新たな作製技術は次世代情報通信デバイスへも-

厚さ100ナノメール級の極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスを実現
-熱マネジメントやイメージング、そして新たな作製技術は次世代情報通信デバイスへも-

 国立大学法人bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院の朝田晴美氏(博士課程3年、独立行政法人日本学術振興会特別研究員)、鈴木健仁准教授(工学研究院、JST創発研究者)は、極めて薄い赤外線(注1)吸収メタサーフェス(注2)を実現しました。厚さ100ナノメートルの誘電体膜を用い、表に金の正方形パッチ、裏に金の膜を設けています。厚さ100ナノメートルの誘電体膜の表と裏の両面に金属構造を作製する技術は、文部科学省「ナノテクノロジープラットフォーム事業」(現「マテリアル先端リサーチインフラ事業」)の支援(No. F-20-IT-0017)を受けて、東京工業大学微細加工プラットフォームにおいて生み出された両面同時電子ビーム露光法(注3)を用いています。両面同時電子ビーム露光法は、熱放射の制御に向けた赤外域のメタサーフェスの作製への応用や、6G(Beyond 5G)通信のさらに次世代の7G通信でのテラヘルツ波帯アンテナの作製への応用も進んでいます。

本研究成果は、米国光学会Optics Letters( 3月5日付)に掲載されました。
論文タイトル:Ultrathin metasurface on 100 nm-thick dielectric membrane absorbs infrared rays
URL:https://opg.optica.org/ol/fulltext.cfm?uri=ol-49-6-1409&id=547567

研究背景
 電磁波として身の回りの物体から放射される熱は、赤外域の電磁波である赤外線として放射されています。これまで、物体から放射される赤外線の測定による物体の検出などに利用されてきました。また、赤外線を操ることで熱放射を制御する試みも進みつつあります。メタサーフェスは、誘電体膜上に電磁波の波長よりも十分に小さい構造を人工的に設けることで、自然界に存在しない光学特性を実現したシート状の人工構造材料です。高周波数帯(短波長)でメタサーフェスを実現するためには、より一層薄く非常に壊れやすい誘電体膜を扱う必要があります。極めて薄い誘電体膜の表と裏の両面に微小な金属構造を作製する技術を構築できれば、赤外線を操るためのメタサーフェスを実現できます。

研究体制
 本研究は、bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学府電子情報工学専攻の朝田晴美氏(博士課程3年、独立行政法人日本学術振興会特別研究員)、同大学院工学研究院先端電気電子部門の鈴木健仁准教授?JST創発研究者により行われました。本研究の一部は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS) 特別研究員奨励費(21J22822)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(井村パネル)における研究課題「テラヘルツギャップを切り拓く人工構造材料の深化と7G通信への展開」(JPMJFR222I)、文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B)(21H01839)、公益財団法人中部電気利用基礎研究振興財団の支援により行われました。また、本研究の一部は、文部科学省「ナノテクノロジープラットフォーム事業」(現「マテリアル先端リサーチインフラ事業」)(課題番号F-20-IT-0017)の支援を受けて、東京工業大学微細加工プラットフォームにおいて実施されました。

研究成果
 本研究成果では、赤外域の電磁波に対して動作する赤外線吸収メタサーフェス(図1(a))を、厚さ100ナノメートル(nm。1ナノメートルは1ミリメートルの1,000,000分の1のサイズ)の非常に薄い窒化シリコン(SiNx)膜を用いて実現しました。赤外線吸収メタサーフェスの表面には、1,200ナノメートル角の正方形の金のパッチを周期的に配置したパターンを設けています(図1(b))。赤外線吸収メタサーフェスの裏面には、格子状のレジスト(注4)の壁と金の膜が配置されています(図1(c))。今回実現したメタサーフェス吸収体(図2)は、両面同時電子ビーム露光法により実現しました。作製した赤外線吸収メタサーフェスをフーリエ変換赤外分光法で測定したところ、50テラヘルツ吸収率97.1%、反射率2.2%、透過率0.7%と、極めて薄い素材ながら高い赤外線吸収率を有することを確認しました。

今後の展開
 本研究で実現した極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスは、赤外線を用いたイメージング、物体の検出、距離測定などのアプリケーションでの利用が期待できます。本研究の両面同時電子ビーム露光法は、熱放射を制御するための赤外域のメタサーフェスの作製への応用や、6G(Beyond 5G)通信のさらに次世代の7G通信でのテラヘルツ波帯アンテナの作製への応用も進んでいます。

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図1 (a)極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスの全体図、(b)表面側と(c)裏面側の拡大図
図2 厚さ100 nmの窒化シリコン(SiNx)膜を用いて作製した赤外線吸収メタサーフェス (a)表面側の全体写真、電子顕微鏡で観察した(b)表面側と(c)裏面側の拡大画像

用語説明
注1 赤外線
電波よりも周波数が高く、可視光の中で最も周波数が低い“赤”色の光よりも周波数が低い(“外”側の)帯域の電磁波のこと。
注2 メタサーフェス
原子より大きいが電磁波の波長に対しては微小なサイズの構造体を原子や分子に見立てて2次元で配列することで、自然界には存在しない電磁的性質(誘電率、透磁率)を実現できるスーパー材料(メタは“超”の意味)のこと。
注3 両面同時電子ビーム露光法
本研究で新たに構築した、極めて薄い誘電体膜の表と裏の両面に、微小な金属構造を作製する技術。極めて薄い誘電体膜の表と裏の両面にレジストを塗布し、電子ビームを誘電体膜の表面側から照射することで、誘電体膜の表と裏の両面のレジストを同時に露光する。
注4 レジスト
電子ビームや光に露光される(照射される)と反応し、性質が変化する材料。本研究では、電子ビーム露光により有機溶剤に対する特性が不溶性から可溶性に変わるレジスト(ポジレジスト)を使用して、微小な構造を作製した。

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 ◆研究に関する問い合わせ◆
 ? bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学研究院
 ?? 先端電気電子部門 准教授
 ?   鈴木 健仁(すずき たけひと)
 ? ? ? TEL/FAX:042-388-7108
  ?  E-mail:takehito(ここに@を入れてください)go.jskrtf.com

 ◆JST事業に関する問い合わせ◆
 ? 科学技術振興機構 創発的研究推進部
 ??  加藤 豪(かとう ごう)
 ? ? ? TEL:03-5214-7276 Fax: 03-6268-9413
  ?  E-mail:souhatsu-inquiry(ここに@を入れてください)jst.go.jp
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 ◆報道に関する問い合わせ◆
 ? bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@総務部総務課広報室
? ? ? ? ? TEL:042-367-5930 Fax: 042-367-5553
 ?? ??E-mail:koho2(ここに@を入れてください)cc.jskrtf.com

  科学技術振興機構広報課
   ? ? TEL:03-5214-8404 Fax: 03-5214-8432
    E-mail:jstkoho(ここに@を入れてください)jst.go.jp

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?  プレスリリース(PDF:629.1KB)

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