私たちは、世界の食料生産、我国の食料自給率の向上をめざし、作物の収量、バイオマス生産、ストレス耐性のため、現在以下のような研究に取り組んでいます。

1.多収性作物の性質の解明とその栽培法(バイオマス生産:個体群構造、葉の展開、葉の光合成、倒伏抵抗性)
世界の重要作物の単位面積当り収量の増加は近年頭打ち傾向にあり、深刻な世界的食料問題が懸念されています。資源、環境を保全しつつ、安全な食料を安定して多く生産することを目的として、とくに現在は多収をあげることのできる作物の性質の解明とその栽培法について取り組んでいます。
対象作物:イネ、コムギ、ダイズ、トウモロコシ
2.ストレス耐性植物の性質の解明(水ストレス、塩ストレス)
世界各地で問題となっている干ばつ害、塩害などのストレスに対して耐性のある作物の性質を、植物生態生理学的視点から研究しています。研究の成果は、これらのストレス耐性作物を育成するための重要な基礎となります。
対象作物:イネ、ダイズ、コムギ、オオムギ

西表島で生育するマングローブの耐塩性の機構を解析し、研究成果を作物の耐塩性研究の基礎にします。
3.研究成果の育種への適用
1~2で得られた作物の多収性、ストレス耐性などに関わる研究成果を育種に応用することを目的として、現在はDNAマーカーを利用した量的形質遺伝子座(QTL)解析によって、光合成、吸水能力、倒伏抵抗性などに関わる形質の染色体上の位置を明らかにするための研究を行っています。これらの研究は、重要な形質の遺伝子の解明の基礎となるとともに、重要形質のDNAマーカーを見出し、効率的育種に役立ちます。(イネ、オオムギ)
4.研究成果の栽培技術への応用
1~3で得られた研究成果を栽培技術に応用することを目的として、倒伏抵抗性の高い多収性水稲品種の高密度直播栽培、循環型高バイオマス飼料稲?バイオ燃料稲栽培技術の確立、地域における実証研究を行っています。
地域実証研究先:滋賀県東近江など