活動報告
2012年3月 FOLENSセミナー : 災害教育への導入~東北震災?津波被災地訪問とボランティア活動
参加学生レポート: Ei Ei Theint Co Thi Kinh Mudan Hou Mohammad Sahin Polan Tomoya Watanabe
津波による破壊の痕跡がそのまま残る住宅街に衝撃を受ける(東松島) |
多くの檀家を失った寺の境内で鎮魂行事に備え砂利を敷く作業(気仙沼?地福寺) |
RQ市民災害救援センター(現在はRQ災害教育センターほかに発展)の3.11からこれまでについて話を伺う(RQ登米復興交流センター) |
津波で壊滅した牡蠣養殖の復興支援~稚貝がついたホタテの殻を縄でつなぐ作業(気仙沼?唐桑) |
美しく豊かな湾を漁船で案内していただきながら津波被害とその後のお話を伺う(気仙沼?唐桑) |
活動を温かく受入れもてなしてくださった奥様とともに記念撮影(気仙沼?唐桑) |
2012年度最後のFOLENSセミナーとなる今回は、2011年3月11日の東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた訪問し、ボランティア活動に取組みつつ、被災地とそこに生きる方々から学ばせていただくことを目的として実施しました。今後の継続的な活動を視野に入れた試行的取組と位置付け、参加者は6名の学生と2名の教員。現地コーディネートを、震災直後からの精力的な被災者救援活動の経験をベースに、災害から学ぶ「災害教育」の推進を目指す「RQ災害教育センター」にお願いし、東北本部の浦田紗智さんに全行程に同行いただきました。
1日目:
宮城県仙台市からマイクロバスに乗り、RQ災害教育センター?浦田さんに案内いただきながら、沿岸地域を北上しました。
初めに車を停めた東松島市では、津波により破壊された状況そのままの住宅地の様子に、被害の甚大さと恐ろしさ、日常が消失する悲しさ、そして復興の道のりの困難さに、一同、衝撃を受け、無言となりました。そこから、女川町、石巻市、南三陸町とリアス式海岸沿いに走ると、漁村と漁港の破壊の跡が次々と現れます。美しい景色と被害の悲惨さを胸に刻みながら、被災地域や人々の状況や地殻変動による沿岸部の沈降等について、浦田さんや教員の情報提供をもとに話しつつ、南三陸町入谷地区にある「南三陸復興ダコの会」の工房に到着しました。工房では、入谷公民館長の阿部氏や作業をされている方々にお話を伺いながら、復興のシンボルとなっている「オクトパス君」グッズや地元の伝統文化に根差したまゆ玉グッズなどの手工芸品を製作、販売している様子を見せていただきました。また、地区の神社にオクトパス君が祭られた様子も拝見しました。
その後、志津川地区の復興市場で食材を買い、被災直後から避難所やボランティアの拠点として活用され復興の拠点となっているホテル観洋ですばらしい温泉を堪能し、宿泊先となるRQ登米復興交流センターへ移動、食事をとりながら各自の参加動機(自国での災害に備えて日本の経験から学びたい、被災した方々の役に立ちたい、震災当時自国のニュースで見ていた状況を現地で直に知りたい、災害から1年経った現状を自分の目で見たい)を述べ合って、寝袋で就寝しました。
2日目:
いよいよ参加学生が心待ちにしていたボランティア活動初日。全員で昼食用のおにぎりをにぎって(初挑戦の留学生も健闘!)、作業着になり、準備万端。気仙沼市の地福寺へおじゃましました。
地福寺は少し高台にありますが、今回の津波で天井間際まで浸水し、3年前に完成したばかりの本堂は枠組がかろうじて残ったとのこと。そこから見渡すことのできる沿岸地域はほとんど何もない更地になっており、震災以前は境内から海が見えなかったというお話が信じられません。檀家の方々も多くが命を落とされ、寺では震災後1年を契機とした鎮魂の行事を準備しているところでした。我々は、その準備のために、境内に砂利を敷くという作業をお手伝いしました。被災した方々自らが復興のために働く「気仙沼復興協会」の方々もいらしており、作業の合間に様々なお話を伺うことができました。地福寺住職の片山秀光和尚より、「めげない にげない くじけない」とご自身で書かれた記念の軸と、留学生にはCDまでいただき、一同、ありがたく一日を終えました。
宿泊先へ戻り夕食の後、浦田さんより、RQ災害教育センターの前身団体である「RQ市民災害救援センター」による震災直後からの被災者救援の取組について話していただきました。センターは、ボランティアのネットワーク組織であり常勤?有給のスタッフがいて指示系統のある通常の組織とは異なること、被災者支援に関わりたい多くの個人が自己責任、自己判断で参画し、行政の手の届かない被災者ニーズに柔軟に応えてきたこと、また、浦田さんご自身の活動に参加した経緯や現在の心境などに、学生も教員も強く感銘を受けていました。
3日目:
最終日は、気仙沼市唐桑地区で牡蠣養殖業を営む畠山政則さんご夫妻に受け入れていただき、牡蠣養殖の復興を支援するため、牡蠣の稚貝がついたホタテの殻を縄でつなぐ作業をお手伝いしました。RQ唐桑拠点の星野さんにコーディネートいただき、他のボランティアの方々と合流しての作業となりました。
慣れない手つきの我々を、明るく優しい奥さまに丁寧にご指導いただきました。また、ご主人には漁船を出して湾内を案内していただき、美しく豊かな唐桑の自然と、震災時?後の状況、今後の牡蠣養殖の展望等、様々なお話をお伺いしました。作業の合い間には、津波に流されず残された貴重な牡蠣を焼いていただいたり、新鮮な生ホタテをいただいたり、さらに牡蠣汁やお刺身など大変豪華な昼食もいただいて、貢献を大きく上回るおもてなしをいただいてしまいました。畠山さんのお宅には、これまで訪れたボランティアの寄せ書きがたくさん残されており、我々も、いただいたカレンダーの裏にそれぞれの自国の言葉で御礼を書かせていただきました。
宿泊施設に戻り、最後に、各自が3日間を通じて感じたことを分かち合いました。「地元の人々や行政の力に感銘を受けた。大勢のボランティアが活動していることには日本社会の善意を感じ感銘を受けた。こうした力があれば復興できると感じた」「実際に現地に来るまではわからなかった本当の津波被害の状況を知ることができた。自国に持ち帰り伝えたい」「全てが消失した実際の光景に衝撃を受けた。人々にお会いして現場の力を感じた」といった感想が出されました。また、受入先の浦田さんからは、「現地の方々には、いろいろな国の方々による応援を嬉しく思っていただけると思う」というお話もいただくことができました。
3日間を通じて、多くの方々にお会いし、多くを学ばせていただきました。短い行程の中で現地に貢献できることは本当にわずかですが、与えていただくものはとてつもなく大きいというのが実感です。そしてこうした学びは、「環境リーダー」としての力に必ずやつながるものだと感じます。今後もFOLENSで、被災地とつながった活動を、何らかのかたちで実施していければと思います。(SN)
プログラム:
Day 1 (Wednesday, March 7)
09:30 Meet at the east gate of the Sendai station
Meeting 1: Self-introduction and overview of this field seminar (Ninomiya/Urata,
RQ-Disaster Education Center)
10:00 Leave the Sendai station by a wagon (TOYOTA HI-ACE)
10:30 Higashi-Matushima – Onagawa – Ogatsu – Shizugawa: Landscape of the damage
(Urata/Furuichi)
14:30 Minamisanriku Fukko Dako no Kai (Minamisanriku Restoration Octopus
Association): Mr. Abe, Iriya Community Center
15:45 Bathing
16:30 Leave Shizugawa
17:15 Tome RQ Office – Check in to the accommodation
18:30 Cooking for dinner (Curry and rice, salad, etc.)
19:00 Dinner
20:00 Meeting 2: Wrap-up discussion of the day (Ninomiya/Furuichi)
Day 2 (Thursday, March 8)
07:00 Wake-up, Preparation of breakfast and lunch
08:00 Breakfast
Leave the accommodation
Arrive at Jifuku-ji Temple, Kesen-numa city
Volunteer activity 1: Cleaning up a tsunami stricken temple (Mr. Nishimura, RQ-Koizumi
Volunteer Center)
15:00 Leave Motoyoshi
16:00 Shopping at Michinoeki of Tome (Foods)
16:30 Shopping at a DIY shop (Equipment)
18:00 Bathing
19:30 Cooking
20:00 Dinner/ Preparation for Tomorrow
Day 3 (Friday, March 9)
05:30 Wake-up, Preparation of breakfast
06:00 Breakfast
07:00 Leave the accommodation
08:45 Arrive at Karakuwa area, Kesen-numa city
Volunteer activity 2: Oyster farming (Hoshino, RQ-Karakuwa Center)
15:00 Leave Karakuwa
16:30 Arrive at the accommodation/ Cleaning
Meeting 5: Wrap-up discussion of this seminar (Ninomiya/Furuichi)
18:00 Leave the accommodation
20:00 Ichinoseki Station- Dismissal